大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(あ)1520 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人村林隆一の上告趣意について。

論旨は、要するに、被告人の一審国選弁護人野瀬長治が、本件の同審に繋属中で

ある昭和三四年一一月一八日以前に、被告人に対する起訴事実の一部(同判決判示

二の(ハ)の事実)と関連性のある民事訴訟事件を受任しているから、同弁護人は

憲法三七条三項にいう「資格のある弁護人」といいえず、被告人は同条項による弁

護人を附されていなかつたこととなり、結局弁護人選任権を奪わつたことに帰する。

そしてこれに反する原判決の判断は、憲法三七条三項の解釈を誤つたものであると

いうにある。しかし、右弁護人が所論民事訴訟事件の受任をしたことの一事により、

たやすく、被告人は所論一審判決判示二の(ハ)の事実につき所論資格ある弁護人

を附されなかつたものとは、断じ難く、かえつて、記録によると、昭和三四年四月

二三日起訴にかかる右判示事実については、同年一〇月一三日の第八回公判期日ま

での間に審理がなされ、その間右弁護人の弁護活動に特に不十分な点があつたとは

認められないし、同年一一月二〇日の第九回公判期日において一旦終結された弁論

が再開されているが、同期日においては右判示事実と関係のない同年三月三一日起

訴にかかる同判示一の事実についての起訴状訂正がなされ、同年一二月七日の第一

〇回公判期日においては新たに追起訴された同判示四の事実につき審理がなされた

ものに過ぎないことが認められる。従つて、右弁護人が所論民事事件を受任したた

めに右判示事実につき弁護活動を怠つたものとは認め難く、被告人の防禦にいささ

かの不利益も与えなかつたものと認められるから、所論資格のある弁護人を附さな

かつたと同視すべき特段の事情は存在しないものというべきである。されば、所論

違憲の主張は、その前提を欠き採るを得ない。

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また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三六年一〇月一〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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